内藤記念くすり博物館に行ってきました
先日、岐阜県各務原市にある内藤記念くすり博物館に行ってきました。
一言で感想を言えば、大満足です。
ちょっと行きにくかったけど、行って良かった!!
入館無料なのにコンテンツが盛りだくさんで、行く途中少々トラブルがあって着いたのが閉館1時間半前だったのですが、
急ぎ目かつしっかり見て1時間半でなんとかまわりきりました。
本当は春休みに行く予定だったのですがコロナでずっと休館で、6月2日から感染対策をした上で再開とのことで中間テスト明けに行ってきました。
今回はこんな感じでゆる~くレポートしていきたいと思います。
内藤記念くすり博物館とは?
www.eisai.co.jp内藤記念くすり博物館とは、1971年にエーザイ創始者:内藤豊次によって開設された博物館です。
展示室は医薬の歴史を太古の昔から近代にかけて詳しく見ることが出来る常設展示と、一年に一回テーマを変える企画展示があり、私が行ったときは「麻酔薬の歩みと華岡青洲」でした。
3Fには内藤豊次の生涯とエーザイの歴史が取り扱われている社史コーナーや認知症コーナー、DVDシアター(行ったときはコロナのため使用不可)がありました。
施設内には他に
- 医薬・薬学書を中心にした図書館(要予約)
- 薬草園
- 薬木園
- 温室
が併設されています。
図書館と温室は感染症対策のため私が行ったときは使えなかったです。
ではこれから私がまわった順に感想などを書いていきますね。
1F・2F 常設展示:医薬の歴史
まず玄関にはいるとロビーに迫力ある木製の装置がありました!
どうやらこれは江戸時代頃に使われた効率良く薬草を粉々にするための装置だそうで、ハムスターの回し車のようにこの大きな円形の木枠の中に人が入ってまわすそうです。楽しそう。
常設展示の入り口には白沢が。
白沢とは古代中国の想像上の神獣で、病魔を防ぐという言い伝えがあるそうです。
あの鬼灯の冷徹に出てくる白澤様のモチーフですね~
白沢の他にも神農、少彦名命(すくなひこな)などの古代の薬学・医学の神様の絵や像がたくさんありました。
次にあったのが漢方や民間薬などの歴史ある薬。東洋医学の歴史などが紹介してありました。
生薬もたくさん飾ってあったけど東洋医学を勉強するサークルに入っているので大抵は私にとって見慣れたものでした(^_^;王道の生薬といいますか。
次には、薬関係の商売をしていた人達のマネキンがありました。
富山の薬売りや越後の毒消し売りなどなど、、、
その奥には薬の商売をしていた人達の道具や資料がたくさんありました。
ここらへんで特に私が気になったのは江戸時代の病薬道戯鏡という、病気と薬の名前を人名のように記して番付表にしたものですね。あの、歴史の教科書に出てくる番付表みたいな見た目です。
それを見ることによって当時恐れられていた病気とそれに対する薬が分かるという、面白い資料でした。
その次のコーナーは蘭方医学の伝来ということで、徐々に西洋医学を取り入れていった日本の様子が見れます。
オランダ船にのって薬や酒を運んだオランダ徳利、解体新書、日本で初めての西洋薬、初めての目薬などなど、、、
養生訓という、健康に人生を楽しむ教えが載ってる資料があって、現代にも通じて響くと思われる文章がたくさん書いてあって良いなあと思いました。
そこから二階に上がるとまず近代の薬が出てきて、ジェンナーやコッホ、パスツールなどの人物ごとにパネルがあって業績が紹介されていて、当時使われた薬のパッケージや道具が飾ってありました。
サリチル酸も置いてあって。前から思ってたんですけどサリチル酸って漢字だと「撒酸」とか「撒里失兒酸」って書くの、かっこよくないですか?Tシャツ欲しいくらいです。
その横には海外コレクションがあって、ドイツやフランスの薬壷や乳鉢などがありました。見た目も綺麗で国ごとに違いがあるのも面白かったです。
ここで「おおおお!!」となったのが紀元前2200年頃の世界最古の処方箋(の複製)。
粘土板にシュメール人の文字が書かれていました。12以上の処方が書かれているそうで、飲みにくいときはビールと一緒に飲めって書いてあるそうです笑
その横にはたくさんの昔の薬入れとかはかり、薬棚がありました。
最後に日本薬局方の歴史を見て、常設展は終わりました。
めちゃくちゃパネルの説明が丁寧で、面白いものがたくさんありましたねえ
2F 企画展示:麻酔薬の歩みと華岡青洲
1年ごとにテーマがかわるそうで、今回は「麻酔薬の歩みと華岡青洲」
つい数日前にあった薬理学の中間テストの範囲に局所麻酔薬があって、私にとってはタイムリーなテーマでした。
東西の麻酔法の歴史、華岡青洲がどのように全身麻酔薬を開発したのか、近現代の麻酔法はどのようにして開発されていったかが資料とともにわかります。
本当にパネルが丁寧でですね、麻酔薬とは何か?局所麻酔薬、全身麻酔薬とは?そもそも痛みとは?というところから解説されています。
これみて華岡青洲が好きになったのでちょっと聞いてください。
華岡青洲は外科医で、勉学への熱意が強く、勉強を始めると寝食を忘れて没頭し、珍しい処方や優れた技術を持つひとがいるときけば指導を受けに行ったらしい。見習いたいもんです。
万病一毒説をとなえた吉益東洞の長男、吉益南涯からも学んでいたそうです。
あるとき清州は、当時不治の病とされていた乳がんが外科手術によって治せるとオランダの医学書に書いてあることを知りますが、患者が痛みに耐えられないだろうと考え、手術を断念したそうです。
しかし、「痛みを取り除くことが出来れば、手術により今まで治療できなかった病気も治せるのでは?」と考え、全身麻酔薬の開発研究を始めたそう。
そして、曼荼羅花・烏頭・ビャクシ・当帰・センキュウ・天南星の六味による麻沸散(後の通仙散)が開発されました。
対象が乳がんで患者は女性なので、女性でも飲みやすいように剤形を工夫したそうです(ここにちょっとキュンとしてしまう)
そして正確な記録が残っている点で世界初の全身麻酔による乳がん手術が成功!!
麻酔薬のおかげで手術による可能性が広がっていったわけですね。
くわしくはぜひ博物館へ・・・・!
3F エーザイ社史コーナーなど
3Fにはエーザイの社史コーナーがありました。
創業者である内藤豊次の生涯とエーザイがどんどん大きくなっていった経緯がかいてありました。
個人的に運命感じたのは、豊次が中学時代(今でいう高校?)に読んだスマイルズ著「自助論」に感銘を受け、それ以降座右の銘を「天は自ら助くる者を助く」にしていたことです。
私も高2のときにこれ読んですごい、頭を殴られたような衝撃を受けました。。。
とりあえず、一文一文が名言って感じで、功績を残した偉人達のエピソードをこれでもかというほどふんだんに載せて読者に努力の素晴らしさを説くっていう印象です
今の私は「この本厳しすぎなんじゃないの」と思いますが。
とりあえずおすすめの自己啓発書をきかれたらまずこれが浮かびます。
おっと、本の紹介はこれぐらいにして。。。
同じフロアには豊次の息子で前社長だった内藤裕次の特別展示と、認知症に関するパネル展示がありました。
薬木園・薬草園
とにかく広かった!!!!!
とりあえず花が咲いていたのを見せますね~
また、かぜ・頭痛・めまいなど、症状別にきく薬草が区画分けされてて面白いなと思いました。
有毒植物コーナーもありましたよ!
ジギタリスやドクニンジンなど色々ありましたね。
薬用植物の他にもハーブとかいろいろ植えてありました!
すぐそばには温室がありましたがコロナの影響で閉館してました、また今度見に行きたいです~!
アクセス
これが個人的にはあまりよろしくないように思えて、行きはグーグルマップで調べたんですけど良い電車やバスの便がなくて「見学する時間がなくなっちゃう~!」と思ったので途中からタクシー使いました。
まわりは工場とか倉庫で田舎って感じだったので。
着く直前になって博物館のホームページにアクセス書いとるやん、と気づきました(;´Д`)
時間的にも値段的にもホームページに載ってる方法で行くのがおすすめです!
博物館前に一応バス停はありましたけど、3時間に一回ぐらいしか便がなかったです
帰りはそのホームページとパンフレットに書いてある方法で、30分くらい?歩いて川島口というバス停に行き、そこから30分おきに出ていた名鉄バスで名鉄一宮駅まで行き、無事帰り着きました。
まとめ
内藤記念くすり博物館は薬学の歴史の宝庫!!
何度も言いますが入館無料なのにパネル説明は丁寧で展示室も綺麗でもちろん展示品も素晴らしくて、たくさんの学びをくれる空間でした。
わたしは創薬研究者を目指していて、未来のことを明らかにするのだから研究者にとって過去の歴史は知る必要がない!と考える人もいると思いますが、
いかにして薬が開発されてきたのか、薬が開発される前後で何がどう変わったのか、薬と人はどのような結びつきを得てここまできたのか、などなどを知るのは、未来を見据える研究者にとって大切なことなんじゃないかな、とまだまだ卵の身ですが思ったりしてます。
単純に私は「薬」という存在そのものが大好き、というのもありますが。
とても貴重な経験をさせていただき、内藤記念くすり博物館に関わっている方々に感謝です。
常設展の入り口の方に「写真撮影OK!」と書いてあったので一部写真を公開していますが何か問題がありましたら消そうと思います。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。