読書記録:「科学者を目指す君たちへ」

今回も本の紹介も兼ねて感想を書いていこうと思います

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科学者を目指す君たちへ

~科学者の責任ある行動とは~

 

米国科学アカデミー 編 / 池内 了 訳

 

この本の原版は1989年に書かれていて、科学系の本としてはかなり古いと思います

どんな本か、簡潔に言うと

 

科学者を目指す学生に科学活動の倫理的基礎や研究者が抱えがちな科学者ならではの倫理的問題を取り扱った本

 

です!

具体的に言えば、そもそも科学とはというところから実験データやテクニックの扱い方、出版と公開の意義、著者名の取り扱い、不正行為についてなどなど、科学者のだれもが留意しなければならないテーマを扱っているのではないでしょうか

 

古い本ではありますが、倫理的な内容を扱っているが故に現代にも通ずる内容ばかりです。

 

では、こんな感じで紹介と感想を書いていこうと思います

〈目次〉

 

本の特徴・構成

 

まえがきによればこの本は、

若い研究者が年輩の研究者と共同研究したり、倫理的問題にどう立ち向かっているかをそばで見たりしながら学んでいくのを補助するような、

科学者教育を体系づけた内容になっています。

 

ですので、研究倫理の授業や学会などで使われていることを想定しているそうです。

 

研究倫理・科学倫理が中心的な内容になってくるので、すでに科学の道に進んでいる方は「こんなの当たり前だよ!」と思われる内容が多いかもしれませんが、

 

これから科学の専門家として研究していきたい私にとっては、

この先も心にとどめて研究していきたいなあという言葉ばかりでした。

 

構成としては

テーマごとに倫理的基礎や問題が掲げられた後に、

疑問文で終わるケーススタディが用意されていて周りの人と議論しながら考えることが出来るようになっています。

 

本の幅は約0.7㎜で薄めなので、一気に読み終わると思いますよ!

 

では次に、心に残った言葉を絞って紹介したいと思います

 

心に残った言葉

 

科学的活動の根幹は、自然に対する個人の洞察力にある。

...同時に科学という営みは、孤独で隔絶した真理の探究という一般にイメージされている科学像とは大きく異なり、本来的には社会的な面をもっている。 

 

確かに今でもテレビやアニメ、新聞などのメディアの影響のためか、科学者の言っていることは絶対に正しくて 研究は暗くて狭い部屋で孤独に行われているというイメージがありそうですね

 

でも研究は絶対一人じゃ出来ないし、先人達が今まで積み上げてきた研究結果の上で成り立っている

「巨人の肩に乗ろう」という言葉を聞きますが。

 

そして自然現象を観察し、仮想を立てて検証していくのは個人個人の営みであり、個人は社会の中で生きているわけですから、社会に影響を受けるのもしかるべきでしょう。

 

 

科学手法は間違いが生じやすいことから、科学において疑うと言うことの重要性を心に刻んでおく必要がある。 

 

 科学は何らかの方法で自然現象を観測し、検証していかなければなりませんが、研究手法は時間が経つにつれて進化していくので、

 

当時はそれが最善策で正しいとされていても後々研究手法が進化したことにより間違いと判明することが多いそうです。

 

 

科学的な発見に無形の影響を与える多くの要素、たとえば好奇心、直感、創造性などは、ほとんど論理的に説明できない 

...価値観と科学は切り離せないし、そうすべきでもない

 

去年受けた自然史の授業でも、偉大な発見をした科学者の中にはとがった先入観をもっていた人が多くいるという説明を受けました。(コペルニクスガリレオ、リンネなど)

 

偉大な発見というのは言い換えれば当時誰もが考えられなかったものなので、大衆とはかけ離れたとがった価値観をもっていたからこそ発見できたのではないかということです。

 

もちろん価値観は研究結果に悪い影響を与える場合も多いですが

切り離すことは出来ないのだ、と考えることでその研究の背景まで見ようと思いますし、これからも留意していきたいと思う言葉です。

 

 

ひとつの科学的結果は、本質的に暫定的なものである。科学者は、自然の物質世界のある側面を完全かつ正確に記述していると、はっきりと証明することができないからだ。その意味で、すべての科学の結果には、間違いがつきまとっていると考えたほうがよい

 

最後の一文、かなり強くないですか。

この本には繰り返し疑うことの大切さが書いてあって、逆に「他人にいかに研究結果を信頼してもらえるか」についても書いてあります。深いですよね

 

ノーベル賞受賞者の言葉にも「教科書を疑え」というようなものが良くあったのですが実感が湧かず、「ふ~ん」って感じだったんですが、

この本を読んで研究者にとって疑うことがいかに大切かを知ることができました。

 

まとめ

 

研究倫理の授業とかうちの大学にあるのかなあ、わからないけど

 

タイトル通り、研究者を目指す学生は目を通しておいて損はないとおもいました!

 

私は一人で読みましたが、周りの人とケーススタディについて議論しながら読むのが理想的ですね!

 

(明日テスト。。。)